近年場所によっては介護施設が乱立し、競争が激化している地域もあります。そういった競争に生き残り、介護事業をずっと行なっていくには他事業所との差別化を行なうことが急務となります。よりよいサービスを行ない、質の向上をすることで利用者の快適さや満足度を上げることができるでしょう。
その差別化やサービスの質の向上の一つとして、介護保険外サービスの導入を検討する事業所が増えてきています。
介護保険外サービスとはなに?
まず保険外サービスの意味や定義について考えてみましょう。介護保険外サービスとは、その名の通り、介護保険適用外のサービスのことです。介護保険は原則1割の利用者負担でサービスを受けることができますが、介護保険外サービスは全額自己負担になります。
たとえば一般的には以下のようなサービスが、介護保険外サービスに含まれています。
外出支援のサービス
体の障害があったり、高齢ゆえにひとりで外出することが難しい人を支援するサービスのことです。たとえば、車椅子のまま乗車することができる便利な介護タクシーも、介護保険外サービスで提供されることが多くあります。また、近所ではなくどこか遠くに出かけたい場合はトラベルヘルパーの資格を持つ人に付き添ってもらうことができます。
トラベルヘルパーとは、介護支援のスキルと旅行に関する業務知識を兼ね備えた外出支援のスペシャリストです。旅行に行きたいと思う場合に、こういった人たちの助けを借りると安心して旅行することができます。これも保険外サービスの一つと言えます。
家事代行のサービス
介護保険内でのサービスには、生活支援の一つとして家事支援を行なう場合があります。しかし、たとえば利用者の家族の生活援助を行なうことはできません。家族の分の食事を作ったり、掃除をしたり、庭の草むしりをするとか、そういったことは介護保険内で行なうことはできません。
最近は老々介護という言葉も使われますが、介護する側も年配者が多くなり自らも支援を必要とする人たちも増えてきています。それでそういったご家族の何らかの支援をするのが、家事代行サービスです。
美容師、理容師訪問サービス
介護施設に入居中の方や外出困難な要介護の人のために、美容師が施設に訪問してサービスすることができます。ヘアカットやメイクなどのおしゃれを楽しむことができるため、女性に特に需要があります。当然こういったことも保険内では行なえないものなので、介護保険外サービスという形で行います。
このように介護保険内では適用されない、付加的なサービス、作業や支援を行ない、利用者QOLの向上や、利用者の家族の負担減につなげていきます。
自らの施設でそれを行なうこともできますし、そういったサービスを行なっている業者と提携することで、利用者の生活の向上に寄与することもできます。ただし、保険外サービスは利用者の全額負担になりますので、金銭面で余裕のある人しか利用できないというデメリットもあります。
ただしそういった差別化が厳しい競争を生き残る助けになることも事実ですので、部分導入や試験的に導入して需要がどの程度あるのかなどを、見極めてみることもできるかもしれません。